「WordPressで顧客管理までできないか」という相談をよく受けます。結論から言うとできます。ただし方法が3つあり、それぞれ向き不向きがはっきり分かれます。選び方を間違えると、後からデータを移せなくなります。
WordPressで顧客管理する3つの方法
1. WordPress標準のユーザー機能を使う
顧客をWordPressユーザーとして登録する方法です。追加のプラグインが要りません。
ただし、ユーザー機能は本来「サイトにログインする人」を管理する仕組みです。会社名・部署・担当者・取引履歴といった項目がないため、カスタムフィールドで足していくことになります。50件を超えたあたりから検索も絞り込みも厳しくなります。
向いているのは、顧客が実際にサイトにログインする会員サイト。向いていないのは、ログインしない取引先を管理したい場合です。
2. CRMプラグインを入れる
顧客管理に特化したプラグインを入れる方法です。商談のステージ管理、メール配信、タグ付けなど、営業寄りの機能が揃います。
注意点は2つ。多くが有料または機能制限付きの無料版であること、そして見積書・請求書までは面倒を見ないものが多いことです。顧客管理はCRM、書類は別ツール、という二重管理になりがちです。
向いているのは、見込み客が多く、商談の進捗を追いたい場合です。
3. 業務管理プラグインを入れる
顧客・案件・書類をまとめて扱うタイプです。顧客情報が「取引先マスター」として案件に紐づくので、後から「この会社に去年いくら請求したか」がすぐ出せます。
向いているのは、すでに取引がある顧客を継続的に管理したい場合。受注してから納品・請求までの流れがある業種です。
選び方の基準は「何と紐づけたいか」
機能一覧を比べても決まりません。決め手はこれです。
| 顧客を紐づけたい相手 | 選ぶべき方法 |
|---|---|
| ログイン・会員ステータス | WordPress標準のユーザー機能 |
| 商談・見込み度・メール配信 | CRMプラグイン |
| 案件・見積書・請求書・売上 | 業務管理プラグイン |
フリーランスや小さな会社の場合、実際に必要なのは3つ目であることが多いです。見込み客を大量に抱えているわけではなく、決まった取引先と繰り返し仕事をする形だからです。
WordPressで顧客と案件をまとめて管理する
3つ目にあたるプラグインが KantanPro です。無料(GPLv2)で、WordPress 5.0以上・PHP 7.4以上で動きます。
- 顧客マスター 会社ごとに登録し、部署・担当者まで分けて持てる
- 案件との紐付け 顧客を選ぶと過去の取引が見える
- 帳票が進捗で切り替わる 見積書 → 注文受書 → 請求書。書類を作り直さない
- サービス・協力会社のマスター 外注先も同じ画面で管理できる
- レポート 顧客別・サービス別の売上を期間で見られる
顧客管理だけを求めているなら過剰かもしれません。ただ、顧客情報が必要になる場面のほとんどは「この顧客に見積を出す」「この顧客に請求する」ときです。その瞬間に書類が同じ画面から出せるかどうかが、実際の作業時間を決めます。
導入前に決めておくこと
バックアップ
顧客データはWordPressのデータベースに入ります。サイトのバックアップ=顧客データのバックアップになるので、自動バックアップが動いているか先に確認してください。ここを確認せずに運用を始めるのが一番危険です。
個人情報の扱い
取引先の担当者名・メールアドレス・電話番号は個人情報です。共用サーバーで運用する場合でも、管理画面のログインは二要素認証にしておくべきです。顧客管理を始めた時点で、サイトの重要度が一段上がったと考えてください。
データの持ち出し
将来ツールを乗り換える可能性は必ずあります。導入前に、顧客データをCSVなどで書き出せるかを確認しておいてください。書き出せないツールは、規模が大きくなったときに詰みます。
まとめ
- WordPressで顧客管理はできる。方法は標準ユーザー機能・CRM・業務管理の3つ
- 選ぶ基準は機能数ではなく「顧客を何と紐づけたいか」
- フリーランスや小さな会社は、案件・見積・請求と紐づく業務管理型が合うことが多い
- 始める前にバックアップ・二要素認証・データ書き出しの3点を確認する
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